[History B]
開講情報 |
|
---|---|
担当教員 |
|
備考 |
歴史とは何かを考えるきっかけとして、ドイツ文学を通じて見た文化史としてのドイツ史を考察します。文学作品には物語としての側面だけでなく、同時にその時代精神や思潮、社会的事件、宗教的側面や文化史的な事物など、様々な要素が描かれています。本講義では中世以降のドイツ文学史をたどりながら、個々の作品にどのような社会的、歴史的出来事が描かれているのかを考察します。これらの読解を通じて、現代のドイツやヨーロッパの抱える問題の歴史的背景を理解できるでしょう。同時にまたこれらの問題に対する彼らの態度をとらえることにより現在の我々がとるべき態度もまた考察することができると思います。
この授業は全て対面授業で構成する。受講生が少ない場合には演習形式で実施する可能性もあります。
各時代に成立した文学作品の読解を通じて、文学作品の背景にある社会的、文化的な側面を読み解くことができるようになります。それらの考察を通じて最終的には歴史を学ぶ意義を自らの言葉でまとめることができるようになりことを目指します。
講義中にテクストとして資料を配布します。それらの読解を通じて、作品にどのような問題が含まれているのか、文化史的背景から考えてください。可能であればドイツ文学史、ドイツ史を適宜概観しておいた方が理解が深まります。これらの読書に要する時間は1週当たり2時間程度を想定しています。
No. | 学習項目 | 担当教員 | 学生の到達目標 |
---|---|---|---|
1 | ガイダンス、授業の進め方、ドイツ文学史概観 | 岩﨑 | ドイツ史と並行してドイツ文学史を確認し、各時代の特徴を把握することができる。 |
2 | 中世1 『ニーベルンゲンの歌』 |
岩﨑 | ゲルマン民族の武勇伝ともいえる英雄叙事詩の読解を通じて、中世の文化、宮廷生活、ゲルマン世界へのキリスト教の浸透について理解することができる。 |
3 | 中世2 民衆本『ティル・オイゲンシュピーゲル』、『ファウスト博士』 |
岩﨑 | 15、16世紀に花開いた民衆本に見られる読書文化の発展の背景に、印刷メディアの発展や識字率の上昇、ドイツ語の整備といった側面が存在することを理解することができる。 |
4 | バロック グリンメルハウゼン『阿呆物語』(1668) |
岩﨑 | 1618年からの30年戦争を背景に描かれる『阿呆物語』の読解を通じて、中世的な世界から近代的個人主義へと推移しつつある世界で苦悩する当時の人々の心情を理解することができる。 |
5 | 啓蒙主義 レッシング『賢人ナータン』(1779) |
岩﨑 | 宗教の相違を超えて人間愛を説く『賢人ナータン』の読解から、真理を追究する18世紀後期の傾向を考察することができる。 |
6 | ゲーテ時代1 ゲーテ『若きウェルテルの悩み』(1774) |
岩﨑 | 啓蒙主義による合理性の獲得への反動として抑圧された感情面の吐露を謳うシュトゥルム・ウント・ドラングの意義を確認することにより、歴史的事象が個人的な内面の問題へと変化していく様子を考察することができる。 |
7 | ゲーテ時代2 ゲーテ『ファウスト』(1808/1832) |
岩﨑 | 題材を民衆本『ファウスト博士』に取りつつもその展開と意義を大いに変えたゲーテの作品から近代人の苦悩の一端を理解することができる。 |
8 | ロマン主義1 ノヴァーリス『青い花』(1802) |
岩﨑 | フランス革命などの政治的事件に対する反動としての現実遊離的な性格を有するロマン派の特徴から、政治と文化間の乖離を確認することができる。 |
9 | ロマン主義2 ホフマン『砂男』(1817) |
岩﨑 | 『砂男』の読解を通じて化学実験の発展や人造機械、精神疾患など現在まで続く問題の萌芽を確認することができる。 |
10 | 19世紀後半 シュピーリ『アルプスの少女ハイジ』(1881) |
岩﨑 | 産業革命による近代都市の発展と、対照的な山村での生活の様子から、都市と地方との間で苦悩する人々の様子を理解することができる。 |
11 | 19世紀末 ハウプトマン『織工』(1892) |
岩﨑 | 産業の発展が労働問題等の社会的運動へと結実していく様子を『織工』を一例として考察することができる。 |
12 | 20世紀 カフカ『変身』(1916) |
岩﨑 | 『変身』の読解を通じて、都市における市民生活とそこから疎外される人間との様子、家族間のつながりの弱さなどを確認することができる。 |
13 | 第二次大戦後 ボルヒェルト『戸の外』(1947) |
岩﨑 | 二度の大戦で敗北した戦後の人々の様子とそこから立ち上がろうとしつつも苦悩する当時の人々の様子を確認することができる。 |
14 | 20世紀末 ブルスィヒ『太陽通り ゾンネン・アレー』(1999) |
岩﨑 | 第二次大戦後東西に分断したドイツが再統一した後に抱える新たな問題と、その中で暮らす現代人の様子を確認することができる。 |
15 | 総括・まとめ |
No.1
学習項目 | ガイダンス、授業の進め方、ドイツ文学史概観 |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | ドイツ史と並行してドイツ文学史を確認し、各時代の特徴を把握することができる。 |
No.2
学習項目 | 中世1 『ニーベルンゲンの歌』 |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | ゲルマン民族の武勇伝ともいえる英雄叙事詩の読解を通じて、中世の文化、宮廷生活、ゲルマン世界へのキリスト教の浸透について理解することができる。 |
No.3
学習項目 | 中世2 民衆本『ティル・オイゲンシュピーゲル』、『ファウスト博士』 |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 15、16世紀に花開いた民衆本に見られる読書文化の発展の背景に、印刷メディアの発展や識字率の上昇、ドイツ語の整備といった側面が存在することを理解することができる。 |
No.4
学習項目 | バロック グリンメルハウゼン『阿呆物語』(1668) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 1618年からの30年戦争を背景に描かれる『阿呆物語』の読解を通じて、中世的な世界から近代的個人主義へと推移しつつある世界で苦悩する当時の人々の心情を理解することができる。 |
No.5
学習項目 | 啓蒙主義 レッシング『賢人ナータン』(1779) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 宗教の相違を超えて人間愛を説く『賢人ナータン』の読解から、真理を追究する18世紀後期の傾向を考察することができる。 |
No.6
学習項目 | ゲーテ時代1 ゲーテ『若きウェルテルの悩み』(1774) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 啓蒙主義による合理性の獲得への反動として抑圧された感情面の吐露を謳うシュトゥルム・ウント・ドラングの意義を確認することにより、歴史的事象が個人的な内面の問題へと変化していく様子を考察することができる。 |
No.7
学習項目 | ゲーテ時代2 ゲーテ『ファウスト』(1808/1832) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 題材を民衆本『ファウスト博士』に取りつつもその展開と意義を大いに変えたゲーテの作品から近代人の苦悩の一端を理解することができる。 |
No.8
学習項目 | ロマン主義1 ノヴァーリス『青い花』(1802) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | フランス革命などの政治的事件に対する反動としての現実遊離的な性格を有するロマン派の特徴から、政治と文化間の乖離を確認することができる。 |
No.9
学習項目 | ロマン主義2 ホフマン『砂男』(1817) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 『砂男』の読解を通じて化学実験の発展や人造機械、精神疾患など現在まで続く問題の萌芽を確認することができる。 |
No.10
学習項目 | 19世紀後半 シュピーリ『アルプスの少女ハイジ』(1881) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 産業革命による近代都市の発展と、対照的な山村での生活の様子から、都市と地方との間で苦悩する人々の様子を理解することができる。 |
No.11
学習項目 | 19世紀末 ハウプトマン『織工』(1892) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 産業の発展が労働問題等の社会的運動へと結実していく様子を『織工』を一例として考察することができる。 |
No.12
学習項目 | 20世紀 カフカ『変身』(1916) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 『変身』の読解を通じて、都市における市民生活とそこから疎外される人間との様子、家族間のつながりの弱さなどを確認することができる。 |
No.13
学習項目 | 第二次大戦後 ボルヒェルト『戸の外』(1947) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 二度の大戦で敗北した戦後の人々の様子とそこから立ち上がろうとしつつも苦悩する当時の人々の様子を確認することができる。 |
No.14
学習項目 | 20世紀末 ブルスィヒ『太陽通り ゾンネン・アレー』(1999) |
---|---|
担当教員 | 岩﨑 |
学生の到達目標 | 第二次大戦後東西に分断したドイツが再統一した後に抱える新たな問題と、その中で暮らす現代人の様子を確認することができる。 |
No.15
学習項目 | 総括・まとめ |
---|---|
担当教員 | |
学生の到達目標 |
書名 | 著者名 | 出版社名 |
---|---|---|
指定の物は特になし。 | ||
講義中にテクストとして配布します。 |
書名 | 著者名 | 出版社名 |
---|---|---|
基本的には講義中に指示しますが、可能であれば目を通しておいてください。 | ||
ドイツ文学案内 | 手塚富雄 | 岩波文庫別冊 |
知っておきたいドイツ文学 | 前野光弘他 | 明治書院 |
物語 ドイツの歴史 ドイツ的とは何か | 阿部謹也 | 中公新書 |
定期試験50%、リアクションペーパー40%、講義内の取り組みを10%として評価します。
成績評価の講評については、合格発表以後にmanaba上に掲載します。