• 環境学

    [Environmental Studies]

    開講情報
    • 3年次前期

      講義

      1.5単位選択

    担当教員
    • 非常勤講師寺田 匡宏

    備考  

    概要

     環境とは「まわりを取りまくもの」ですが、そのまわりを取りまく取りまき方は、様々な深さと広がりを持っています。あなたの部屋も環境ですし、グローバルな地球環境も環境です。また、一方で、環境とは、それをとらえる側のあり方によって変わってゆくものでもあります。わたしやあなたにとって、環境とは、わたしやあなたの外にあるものですが、わたしやあなたの中に住む細菌などの微生物にとってはわたしやあなたの内部が環境です。わたしたちが環境について考え、環境問題について論じる際の難しさは、この環境の重層したあり方に端を発します。ミクロとマクロ、ローカルとグローバルの立場から、環境をどのように考えればよいのか。さらに、環境や環境問題に、医療や人の健康にかかわる立場からどのようにかかわればよいのか。本講義では、これらの問題を、主に人文学の視点から、最新の地球環境学にかかわるトピックと概念を参照しつつ考えてゆきます。
     この授業の実施方法については、受講人数が決定次第お知らせします。

    授業の一般目標

     この講義では、(1)環境とはなにかについての基本的視点を持つとともに、(2)世界の環境と環境問題の具体的なあり方とその課題について理解すること、(3)それについて自分の意見を述べることができることを目指します。特に、論文やレポートという形式にのっとってそれを論理的に展開できることを目標とし、授業の中で、講義と並行して、そのための解説と練習を行います。

    準備学習(予習・復習)

     予習復習をあわせて 1 週あたり 150 分程度の学修が必要です。内容についてはそのつど指示しますが、講義に関連したトピックを調査し、自分の考えをまとめることが中心となります。

    学習項目・学生の到達目標

    No. 学習項目 担当教員 学生の到達目標
    1 イントロダクション――環境と世界、環境問題の歴史 寺田 環境とは何か、環境問題はどのようにして今日のように論じられるようになったのかを理解する。
    2 地球の限界――「人新世」と「第6の絶滅」 寺田 グローバルな環境問題における基本的な問題である「人新世」説と「第6の絶滅」の危機に関する構図を理解する。(教科書第1章)
    3 人と自然、風土と環境 寺田 自然と環境はどう違うのか。人間と環境はどのように相互作用を行っているかを理解する。(教科書第2章)
    4 環境観と世界観 寺田 環境観と世界観が密接に関係を持っていることを、神話や宗教的語りの事例から理解する。(教科書第4章)
    5 ひと、いきもの、もの(1) 生物多様性と言語文化多様性 寺田 環境において多様性が持つ意味を生物多様性と言語文化多様性というキータームから理解する。(教科書第5章)
    6 ひと、いきもの、もの(2) 共生、環世界、オントロジー 寺田 いきものといきもの、ひとといきものの多様な関係についてデスコラの四類型を用いて理解する。(教科書第6,7章)
    7 自然災害と社会の立ち直り 寺田 環境の激変である自然災害とそこからの社会の立ち直りのさまざまなあり方についてレジリアンスの視点から理解する。(教科書第10章)
    8 近代の相克――水俣病事件(1)科学の責任 寺田 水俣病事件の歴史的経緯とそこにおける科学の責任について理解する。(教科書第8章)
    9 近代の相克――水俣病事件(2)胎内という環境と失われた世界(映画鑑賞) 寺田 被害者の視点から見た時、水俣病事件はどのように捉えられるのかを理解する。(教科書第8章)
    10 環境の中の健康――エコヘルス 寺田 健康が環境と深いかかわりを持つことをエコヘルスという切り口から理解する。(教科書第11章)
    11 環境とケア――エリア・ケイパビリティ 寺田 環境をケアするとはどういうことかをケイパビリティの考え方を用いて理解する。(教科書第11章)
    12 環境の中のハビトゥスとしての食 寺田 食が人間にとって持つ意味を環境の中での行為としての食という視点から理解する。(教科書第14章)
    13 援助と自立 南北問題と生存基盤指数 寺田 グローバルな環境問題を生み出す一因である南北問題とその解決へ向けた援助の在り方について理解する。(教科書第12章)
    14 地球環境と火星環境 寺田 人類の宇宙進出が現実となった未来において、環境観はどのように変化するかを理解する。(教科書第15章)
    15 総括・まとめ

    No.1

    学習項目 イントロダクション――環境と世界、環境問題の歴史
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 環境とは何か、環境問題はどのようにして今日のように論じられるようになったのかを理解する。

    No.2

    学習項目 地球の限界――「人新世」と「第6の絶滅」
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 グローバルな環境問題における基本的な問題である「人新世」説と「第6の絶滅」の危機に関する構図を理解する。(教科書第1章)

    No.3

    学習項目 人と自然、風土と環境
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 自然と環境はどう違うのか。人間と環境はどのように相互作用を行っているかを理解する。(教科書第2章)

    No.4

    学習項目 環境観と世界観
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 環境観と世界観が密接に関係を持っていることを、神話や宗教的語りの事例から理解する。(教科書第4章)

    No.5

    学習項目 ひと、いきもの、もの(1) 生物多様性と言語文化多様性
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 環境において多様性が持つ意味を生物多様性と言語文化多様性というキータームから理解する。(教科書第5章)

    No.6

    学習項目 ひと、いきもの、もの(2) 共生、環世界、オントロジー
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 いきものといきもの、ひとといきものの多様な関係についてデスコラの四類型を用いて理解する。(教科書第6,7章)

    No.7

    学習項目 自然災害と社会の立ち直り
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 環境の激変である自然災害とそこからの社会の立ち直りのさまざまなあり方についてレジリアンスの視点から理解する。(教科書第10章)

    No.8

    学習項目 近代の相克――水俣病事件(1)科学の責任
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 水俣病事件の歴史的経緯とそこにおける科学の責任について理解する。(教科書第8章)

    No.9

    学習項目 近代の相克――水俣病事件(2)胎内という環境と失われた世界(映画鑑賞)
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 被害者の視点から見た時、水俣病事件はどのように捉えられるのかを理解する。(教科書第8章)

    No.10

    学習項目 環境の中の健康――エコヘルス
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 健康が環境と深いかかわりを持つことをエコヘルスという切り口から理解する。(教科書第11章)

    No.11

    学習項目 環境とケア――エリア・ケイパビリティ
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 環境をケアするとはどういうことかをケイパビリティの考え方を用いて理解する。(教科書第11章)

    No.12

    学習項目 環境の中のハビトゥスとしての食
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 食が人間にとって持つ意味を環境の中での行為としての食という視点から理解する。(教科書第14章)

    No.13

    学習項目 援助と自立 南北問題と生存基盤指数
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 グローバルな環境問題を生み出す一因である南北問題とその解決へ向けた援助の在り方について理解する。(教科書第12章)

    No.14

    学習項目 地球環境と火星環境
    担当教員 寺田
    学生の到達目標 人類の宇宙進出が現実となった未来において、環境観はどのように変化するかを理解する。(教科書第15章)

    No.15

    学習項目 総括・まとめ
    担当教員
    学生の到達目標

    教科書

    書名 著者名 出版社名
    人文地球環境学 寺田匡宏 あいり出版

    成績評価方法・基準

     期末レポート(論文)50%、小レポート30%、平常点(講義への参加、小テスト等)20%
     期末レポート(論文)は3000字前後を、小レポートは1000字~2000字前後を2~3回予定します。期末レポート(論文)は、論文としての形式を満たしているか、自分なりに論点をまとめ、論じているかという点から評価します。期末レポート(論文)の論題は、なるべく早めに発表するとともに、構想提出、添削などを実施し、無理なくよいレポートが書けるようにしたいと思います。
     なお、上記の評価基準のパーセンテージは、対面講義の場合です。講義の実施形態がリモート講義になった場合は若干変動するかもしれません。

    評価のフィードバック

     講評は、合格発表時にmananbaにて公開します。