• コミュニケーション論

    [Communication Studies]

    開講情報
    • 1年次前期

      講義

      1.5単位選択

    担当教員
    • 教授實川 眞理子

    備考  

    概要

    コミュニケーションを科学します-コミュニケーションは、薬と同じで、ある局面でのある人の特定の目的を達成すればその局面において良い物だが、違う文脈・人・目的などによって異なる評価もでてくる。異なる結果をもたらしたものは何か、つまり差異をもたらした差異という変数間の関係を特定していくという科学の方法論でコミュニケーションを見つめなおす。それにより、「発信者の心構え」という道徳的な観点から説かれることが多いコミュニケーションを、相互作用が醸成する「意味」の問題として、受信する立場に比重を置いて論じることで、社会人として・また職業人(プロフェッショナル)としてコミュニケーションを実践する基礎づくりを行う。

    授業の一般目標

    他者とコミュニケーションをとることは楽しい。これがなければ生きていけない。それほど空気のようにあたりまえとみえる存在であるコミュニケーションも、目的をもったプロフェッショナルとして実践するコミュニケーションとなると、自分たちの日常行動を客観的に見なおしてデータ化し、理論に基いて一から作り上げる気構えがいる。高校の体育祭ヒーローが、「アスリート」になるために自分の筋肉の動きをモニターで見ている状況にも似ている。ここ一番の目的達成の成否を決める要因は何か、認知心理学や文化記号論などの研究をもとに学び・考えて、その成果を日常の、そしてプロフェッショナルとしての、コミュニケーションの実践に取り入れる姿勢とスキルを身につける。

    準備学習(予習・復習)

    指定された文献がある週はこれを読み込んで、自分が「わからない」「知らない」ことを見つけてから授業に参加してください。授業後にあらためて文献を読み直し、わからない・知らないが「わかった」「知識を得た」に変わったか確認してください。そのうえで、新しく得た知識を、自分のコミュニケーション行動にをあてはめることができるかできないか検討して、あてはまると納得できたものは身につける・あてはまらないと考えたものはその根拠を添えて、次の授業で問題提起できるようにしてきてください。

    学習項目・学生の到達目標

    No. 学習項目 担当教員 学生の到達目標
    1 コミュニケーションって何? 實川 自分たちの日常生活・行動-家族や友人とのつきあいなどの社会的行動から、コミュニケーションを問題化して、コミュニケーションをあえて研究する意味を考える。
    2 コミュニケーション・モデルズ 實川 コミュニケーションの「情報伝達モデル」と「文化解釈モデル」を対比しながら、採用するモデルによって、結果としてのコミュニケーション行動にどのような差異がでるか考える。
    3 差異を生じる差異 實川 G. ベイトソンの「情報」の定義から、日常の当たり前を「問題化」する方法を学ぶ
    4 五感と筋肉 實川 他者を含む環境とのインターフェースとしての、感覚器官(インプット)と筋肉(アウトプット)について学ぶ。
    5 コミュニケーションと注意 實川 「百聞は一見に如かず」という。私たちは目を、客観的な情報を入手する器官として信頼しているが、ときに裏切られる。客観視を妨げているのは何かを考える道筋を学ぶ。
    6 コミュニケーションと解釈 實川 外部環境の知覚(情報インプット)に「解釈」が果たす役割について考える。
    7 コミュニケーションと文化 實川 文化は記憶に存在する:集団成員が、大切な他者(Significant Others)との相互作用の中から後天的に学習した世界の分割の仕方について考える
    8 中間レビュー 實川 コミュニケーションを、参加者の環境認知のありようから考えるアプローチを振り返って、学習成果の応用を考える。
    9 記憶のモデル 實川 感覚記憶、短期記憶、作業記憶、長期記憶:宣言的記憶、エピソード記憶:スキーマ、スクリプト、ストーリー・グラマーといった、記憶研究で使われる概念を学ぶ。
    10 構成的記憶 實川 異文化間コミュニケーションで誤解や摩擦がより生じやすいのはなぜか。新しい情報を入手するときに、記憶・文化がどのように作用するかをスキーマ理論から学ぶ。
    11 スキーマ理論 實川 知識の体系化としてのスキーマ、定型的な段取りと定義されるスクリプト、物事の生起を説明するストリーグラマーなど、記憶の機能的なモデルを学ぶ
    12 プライミング 實川 長期記憶から何が取り出されて作業記憶で活性化されているかが、外界から取り込まれた新しい情報の処理法を決めるという、プライミング理論を学ぶ。
    13 コミュニケーションが作り出す誤・記憶 實川 記憶を構成的なものとする立場から、法廷での目撃証言の罠や子どもの体験談に紛れ込むバイアスを見抜き、その影響を低減する方法を学ぶ。
    14 役割、自己スキーマと コミュニケーション 實川 私たちは、日常生活で異なる様々な役割を演じるが、自己と自己が演じる役割とはコミュニケーションはそれぞれどのように作用しあっているのかを学ぶ。
    15 総括・まとめ

    No.1

    学習項目 コミュニケーションって何?
    担当教員 實川
    学生の到達目標 自分たちの日常生活・行動-家族や友人とのつきあいなどの社会的行動から、コミュニケーションを問題化して、コミュニケーションをあえて研究する意味を考える。

    No.2

    学習項目 コミュニケーション・モデルズ
    担当教員 實川
    学生の到達目標 コミュニケーションの「情報伝達モデル」と「文化解釈モデル」を対比しながら、採用するモデルによって、結果としてのコミュニケーション行動にどのような差異がでるか考える。

    No.3

    学習項目 差異を生じる差異
    担当教員 實川
    学生の到達目標 G. ベイトソンの「情報」の定義から、日常の当たり前を「問題化」する方法を学ぶ

    No.4

    学習項目 五感と筋肉
    担当教員 實川
    学生の到達目標 他者を含む環境とのインターフェースとしての、感覚器官(インプット)と筋肉(アウトプット)について学ぶ。

    No.5

    学習項目 コミュニケーションと注意
    担当教員 實川
    学生の到達目標 「百聞は一見に如かず」という。私たちは目を、客観的な情報を入手する器官として信頼しているが、ときに裏切られる。客観視を妨げているのは何かを考える道筋を学ぶ。

    No.6

    学習項目 コミュニケーションと解釈
    担当教員 實川
    学生の到達目標 外部環境の知覚(情報インプット)に「解釈」が果たす役割について考える。

    No.7

    学習項目 コミュニケーションと文化
    担当教員 實川
    学生の到達目標 文化は記憶に存在する:集団成員が、大切な他者(Significant Others)との相互作用の中から後天的に学習した世界の分割の仕方について考える

    No.8

    学習項目 中間レビュー
    担当教員 實川
    学生の到達目標 コミュニケーションを、参加者の環境認知のありようから考えるアプローチを振り返って、学習成果の応用を考える。

    No.9

    学習項目 記憶のモデル
    担当教員 實川
    学生の到達目標 感覚記憶、短期記憶、作業記憶、長期記憶:宣言的記憶、エピソード記憶:スキーマ、スクリプト、ストーリー・グラマーといった、記憶研究で使われる概念を学ぶ。

    No.10

    学習項目 構成的記憶
    担当教員 實川
    学生の到達目標 異文化間コミュニケーションで誤解や摩擦がより生じやすいのはなぜか。新しい情報を入手するときに、記憶・文化がどのように作用するかをスキーマ理論から学ぶ。

    No.11

    学習項目 スキーマ理論
    担当教員 實川
    学生の到達目標 知識の体系化としてのスキーマ、定型的な段取りと定義されるスクリプト、物事の生起を説明するストリーグラマーなど、記憶の機能的なモデルを学ぶ

    No.12

    学習項目 プライミング
    担当教員 實川
    学生の到達目標 長期記憶から何が取り出されて作業記憶で活性化されているかが、外界から取り込まれた新しい情報の処理法を決めるという、プライミング理論を学ぶ。

    No.13

    学習項目 コミュニケーションが作り出す誤・記憶
    担当教員 實川
    学生の到達目標 記憶を構成的なものとする立場から、法廷での目撃証言の罠や子どもの体験談に紛れ込むバイアスを見抜き、その影響を低減する方法を学ぶ。

    No.14

    学習項目 役割、自己スキーマと コミュニケーション
    担当教員 實川
    学生の到達目標 私たちは、日常生活で異なる様々な役割を演じるが、自己と自己が演じる役割とはコミュニケーションはそれぞれどのように作用しあっているのかを学ぶ。

    No.15

    学習項目 総括・まとめ
    担当教員
    学生の到達目標

    教科書

    書名 著者名 出版社名
    適宜、プリントを配布する

    参考書

    書名 著者名 出版社名
    認知心理学 -- 知のアーキテクチャを探る(新版) 道又爾, 北崎充晃, 大久保街亜, 今井久登, 山川恵子, 黒沢学 (有斐閣アルマ)有斐閣 2011年

    成績評価方法・基準

    期末テストを中心に、授業時間内の小クイズや宿題、プレゼンテーション、授業への参加度などを総合的に評価する。ただし、受講者の人数の多寡によっては、授業内の活動を変更することもあり、その場合は初回の授業で説明する。

    備考(担当教員に対する質問等の連絡方法)

    火曜日午後・水曜日午後(第三水曜日を除く)
    会議等で不在の場合もあるので、Emailで事前に確認してください 
    email:jitsuka@mb.kyoto-phu.ac.jp