• コミュニケーション論

    [Communication Studies]

    開講情報
    • 1年次後期

      講義

      1.5単位選択

    担当教員
    • 教授實川 眞理子

    備考  

    概要

     コミュニケーションは、薬と同じで、ある局面でのある人の特定の目的を達成すればその局面において良い物だが、違う文脈・人・目的などによって異なる評価もでてくる。異なる結果をもたらしたものは何か、つまり差異をもたらした差異という変数間の関係を同定していくという科学の方法論でコミュニケーションを見つめなおす。それにより、「発信者の心構え」という道徳的な観点から説かれることが多いコミュニケーションを、相互作用が醸成する「意味」の問題として、受信する立場に比重を置いて論じることで、社会人として・また職業人(プロフェッショナル)としてコミュニケーションを実践する基礎づくりを行う。

    授業の一般目標

     他者とコミュニケーションをとることは楽しい。これがなければ生きていけない。それほど空気のようにあたりまえとみえるコミュニケーションも、目的をもったプロフェッショナルとして実践するとなると、自分たちの日常行動を客観的に見なおしてデータ化し、理論に基いて一から作り上げる気構えがいる。高校の体育祭ヒーローが、「アスリート」になるために自分の筋肉の動きをモニターで見ている状況にも似ている。ここ一番の目的達成の成否を決める要因は何か、認知心理学や文化記号論などの研究をもとに学び・考えて、その成果を日常の、そしてプロフェッショナルとしての、コミュニケーションの実践に取り入れる姿勢とスキルを身につける。

    準備学習(予習・復習)

     授業内容の記録と補足資料をもとに、各週の課題を実施する。たとえば、教室の外で学習した理論を応用することができる場面をみつけて観察記録をとるなどし、翌週の授業で活用できるように文書にまとめて持参する。配布される補足資料や参考文献の読解に40分程度、まとめに50分程度、自分なりに応用できるような発展学習と合わせて約150分の準備学習を要する。

    学習項目・学生の到達目標

    No. 学習項目 担当教員 学生の到達目標
    1 コミュニケーションの科学 實川 「コミュニケーション」を客観的観察と考察の対象とする動機をもち、手がかりをつかむ。理想とされるもの・問題があるとされるものの違いはどこにあるのかを説明し、その差異の由来の仮説をたてることができる。
    2 コミュニケーション・モデルズ 實川 コミュニケーションの「情報伝達モデル」と「文化解釈モデル」を理解し、コミュニケーション行動・結果の説明に応用できる。
    3 コミュニケーション・プロセス 實川 メッセージを発し、受取り、解釈し、そのうえで次の行動をとる人間の「情報処理系」としてコミュニケーションを理解する。この作業に必要な枠組みを、認知心理学から学ぶ。
    4 スキーマ理論 實川 「スキーマ(体系化された知識)」理論を使って、ヒトがどのように環境を認知するかを説明できる。
    5 記憶のモデル 實川 記憶概念が整理できる。脳に蓄積された古い情報と外界からとりいれた新しい情報の複合を理解できる。
    6 コミュニケーションと記憶 實川 外部環境の知覚(情報インプット)に「解釈」が果たす役割について考える。
    7 コミュニケーションと文化 實川 コミュニケーションと文化の関わりを考える方法を身につける。
    8 コミュニケーションと注意 實川 外界情報の取捨選択に果たすスキーマと注意について説明できる。
    9 コミュニケーションとスキーマと解釈 實川 「事実」と「解釈」の違いが説明でき、問題の発生を予測できる。
    10 コミュニケーションと役割・自己スキーマ 實川 役割りスキーマ・自己スキーマが、コミュニケーション過程で果たす役割を理解し、目的達成の促進と問題の深刻化を予測できる。
    11 プライミング・フレーミング 實川 古い情報と新しい情報がであう作業記憶の働きについてプライミング理論やフレーミング理論から説明できる。
    12 文化記号論 實川 言語をはじめとする記号がもつ「恣意性」について理解できる。
    13 コミュニケーションと文化と記号 實川 文化記号論から、理想とする・問題と感じるコミュニケーションにどのように差異を生じさせるか説明できる。
    14 医療コミュニケーション 實川 役割り・スキーマ理論・認知心理学などを用いて、医療の場で生じうる問題を予測し、その解決策を考える方法を身につける。
    15 総括・まとめ

    No.1

    学習項目 コミュニケーションの科学
    担当教員 實川
    学生の到達目標 「コミュニケーション」を客観的観察と考察の対象とする動機をもち、手がかりをつかむ。理想とされるもの・問題があるとされるものの違いはどこにあるのかを説明し、その差異の由来の仮説をたてることができる。

    No.2

    学習項目 コミュニケーション・モデルズ
    担当教員 實川
    学生の到達目標 コミュニケーションの「情報伝達モデル」と「文化解釈モデル」を理解し、コミュニケーション行動・結果の説明に応用できる。

    No.3

    学習項目 コミュニケーション・プロセス
    担当教員 實川
    学生の到達目標 メッセージを発し、受取り、解釈し、そのうえで次の行動をとる人間の「情報処理系」としてコミュニケーションを理解する。この作業に必要な枠組みを、認知心理学から学ぶ。

    No.4

    学習項目 スキーマ理論
    担当教員 實川
    学生の到達目標 「スキーマ(体系化された知識)」理論を使って、ヒトがどのように環境を認知するかを説明できる。

    No.5

    学習項目 記憶のモデル
    担当教員 實川
    学生の到達目標 記憶概念が整理できる。脳に蓄積された古い情報と外界からとりいれた新しい情報の複合を理解できる。

    No.6

    学習項目 コミュニケーションと記憶
    担当教員 實川
    学生の到達目標 外部環境の知覚(情報インプット)に「解釈」が果たす役割について考える。

    No.7

    学習項目 コミュニケーションと文化
    担当教員 實川
    学生の到達目標 コミュニケーションと文化の関わりを考える方法を身につける。

    No.8

    学習項目 コミュニケーションと注意
    担当教員 實川
    学生の到達目標 外界情報の取捨選択に果たすスキーマと注意について説明できる。

    No.9

    学習項目 コミュニケーションとスキーマと解釈
    担当教員 實川
    学生の到達目標 「事実」と「解釈」の違いが説明でき、問題の発生を予測できる。

    No.10

    学習項目 コミュニケーションと役割・自己スキーマ
    担当教員 實川
    学生の到達目標 役割りスキーマ・自己スキーマが、コミュニケーション過程で果たす役割を理解し、目的達成の促進と問題の深刻化を予測できる。

    No.11

    学習項目 プライミング・フレーミング
    担当教員 實川
    学生の到達目標 古い情報と新しい情報がであう作業記憶の働きについてプライミング理論やフレーミング理論から説明できる。

    No.12

    学習項目 文化記号論
    担当教員 實川
    学生の到達目標 言語をはじめとする記号がもつ「恣意性」について理解できる。

    No.13

    学習項目 コミュニケーションと文化と記号
    担当教員 實川
    学生の到達目標 文化記号論から、理想とする・問題と感じるコミュニケーションにどのように差異を生じさせるか説明できる。

    No.14

    学習項目 医療コミュニケーション
    担当教員 實川
    学生の到達目標 役割り・スキーマ理論・認知心理学などを用いて、医療の場で生じうる問題を予測し、その解決策を考える方法を身につける。

    No.15

    学習項目 総括・まとめ
    担当教員
    学生の到達目標

    教科書

    書名 著者名 出版社名
    適宜、プリントを配布する

    参考書

    書名 著者名 出版社名
    認知心理学 -- 知のアーキテクチャを探る(新版) 道又爾, 北崎充晃, 大久保街亜, 今井久登, 山川恵子, 黒沢学 (有斐閣アルマ)有斐閣 2011年

    成績評価方法・基準

     定期試験(70%)、平常点(授業内の発言や議論など貢献の度合いと提出物)(30%)

    評価のフィードバック

     準備学習の評価は授業内で行う。定期試験の講評は、manabaまたは掲示板に掲載する。

    備考(担当教員に対する質問等の連絡方法)

     火曜日午後。会議等で不在の場合もあるので、Emailで事前に確認してください。