[Health Economics]
開講情報 |
|
---|---|
担当教員 |
|
備考 |
経済学とは、希少な資源(医療を含む)を社会でいかに管理するかを問う学問であるとされており、現実の社会・経済的な諸制度・施策を定めるにあたって必ずと言っていいほど参照される。ただ、その基本的発想や分析方法はかなりシンプルなもので、複雑な現実社会を分析・処方する際の限界も指摘されて久しい。本講義では経済学の基本的な考え方を理解し、それが現実の医療をどのように分析するのかを見たうえで、経済学という枠組の限界や難点にも思いを致したい。
・保健医療で問題となっている様々なトピックにこれまで医療経済学がどのようにアプローチしてきたのか、具体的なトピックごとに理論と実証の両面を参照しつつ、理解されたい。
・そのうえで、経済学一般の基本的考え方がどのようなものであるかへと理解を広げ、経済学という学問が持っている独特のバイアスなり限界なりを理解されたい。
・さらに、今後、保健医療を経済学的に眺める際にどんな発展がある(べき)か、自ら考えられるようになってほしい。
毎回、授業の最後に授業内容に関連した問いを投げる。次回授業の冒頭に、その問への回答とその論拠をアンケート形式で記述し提出してもらうので、履修生は各自で問に対する回答とその論拠を次回授業までに用意しておくこと。このアンケートは学期評価の40%を占めるものであるから、授業レジュメをしっかり復習しつつ回答することを勧める。この授業レジュメの十全な復習には1時間程度を要すると想定される。
No. | 学習項目 | 担当教員 | 学生の到達目標 |
---|---|---|---|
1 | オリエンテーション | 齊藤 | 1. 講義概要・評価の説明 2. 経済学について |
2 | 経済学から見た日本の医療制度の概要 | 齊藤 | 1. 経済学の基本的諸概念を理解する 2. 経済学がどのように財(商品・サービス)を扱うのかを理解する |
3 | 経済学で医療を扱う際の注意点 | 齊藤 | 1. 医療サービスという「財」の性質を理解する 2. 経済学が通常扱う対象と医療はどう違うかを理解する |
4 | 「情報の非対称性」から生じる問題とその対応策① | 齊藤 | 1. 「情報生産」や「シグナリング」、医療サービスの質を担保する規制の重要性について理解する 2. 市場の失敗・政府の失敗について理解する |
5 | 「情報の非対称性」から生じる問題とその対応策② |
齊藤 | 1. プリンシパル-エージェンシー問題を理解する 2. 日本医療のフリーアクセス制を考える |
6 | 医療サービスの「必要」と「需要」 |
齊藤 | 1. サービス供給者がどのように供給量を決定するかを理解する 2. 供給者誘発需要仮説から病床規制を考える |
7 | 医療保険:理論 |
齊藤 | 1. なぜほぼ全ての先進諸国に公的医療保険制度があるのかを理解する 2. 逆選択・リスク選択など保険の経済理論を理解する |
8 | 医療保険:実証分析 | 齊藤 | 1. 社会科学における「実験」の手法・理論・その限界などを理解する 2. 医療経済の分野で実際に行われた実証分析の結果を検証する |
9 | 健康の「生産」 | 齊藤 | 1. グロスマンの「健康資本」の理論を理解する 2. 「時間割引」の考え方を理解する |
10 | 合理的経済人モデルの修正 | 齊藤 | 1. 行動経済学の基本的アイデアを理解するとともに、医療におけるその実用例に触れる 2. 行動経済学と伝統的な経済学の違いを理解する |
11 | 効率性と公平性 | 齊藤 | 1. 混合診療解禁論議について考える 2. 経済学の常識とされる「効率と公平のトレードオフ」を理解する |
12 | 経済学における「公平」の追求問題 | 齊藤 | 1. 厚生経済学の諸理論を理解する 2. 厚生経済学の限界を理解する |
13 | 経済学的発想の限界① | 齊藤 | 1. 健康格差問題を真正面から考える① 2. 政治哲学(社会的正義論)の議論を大まかに理解する |
14 | 経済学的発想の限界② | 齊藤 | 1. 健康格差問題を真正面から考える② 2. 平等主義哲学の最前線について知る |
15 | 総括・まとめ |
No.1
学習項目 | オリエンテーション |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 講義概要・評価の説明 2. 経済学について |
No.2
学習項目 | 経済学から見た日本の医療制度の概要 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 経済学の基本的諸概念を理解する 2. 経済学がどのように財(商品・サービス)を扱うのかを理解する |
No.3
学習項目 | 経済学で医療を扱う際の注意点 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 医療サービスという「財」の性質を理解する 2. 経済学が通常扱う対象と医療はどう違うかを理解する |
No.4
学習項目 | 「情報の非対称性」から生じる問題とその対応策① |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 「情報生産」や「シグナリング」、医療サービスの質を担保する規制の重要性について理解する 2. 市場の失敗・政府の失敗について理解する |
No.5
学習項目 | 「情報の非対称性」から生じる問題とその対応策② |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. プリンシパル-エージェンシー問題を理解する 2. 日本医療のフリーアクセス制を考える |
No.6
学習項目 | 医療サービスの「必要」と「需要」 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. サービス供給者がどのように供給量を決定するかを理解する 2. 供給者誘発需要仮説から病床規制を考える |
No.7
学習項目 | 医療保険:理論 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. なぜほぼ全ての先進諸国に公的医療保険制度があるのかを理解する 2. 逆選択・リスク選択など保険の経済理論を理解する |
No.8
学習項目 | 医療保険:実証分析 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 社会科学における「実験」の手法・理論・その限界などを理解する 2. 医療経済の分野で実際に行われた実証分析の結果を検証する |
No.9
学習項目 | 健康の「生産」 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. グロスマンの「健康資本」の理論を理解する 2. 「時間割引」の考え方を理解する |
No.10
学習項目 | 合理的経済人モデルの修正 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 行動経済学の基本的アイデアを理解するとともに、医療におけるその実用例に触れる 2. 行動経済学と伝統的な経済学の違いを理解する |
No.11
学習項目 | 効率性と公平性 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 混合診療解禁論議について考える 2. 経済学の常識とされる「効率と公平のトレードオフ」を理解する |
No.12
学習項目 | 経済学における「公平」の追求問題 |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 厚生経済学の諸理論を理解する 2. 厚生経済学の限界を理解する |
No.13
学習項目 | 経済学的発想の限界① |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 健康格差問題を真正面から考える① 2. 政治哲学(社会的正義論)の議論を大まかに理解する |
No.14
学習項目 | 経済学的発想の限界② |
---|---|
担当教員 | 齊藤 |
学生の到達目標 | 1. 健康格差問題を真正面から考える② 2. 平等主義哲学の最前線について知る |
No.15
学習項目 | 総括・まとめ |
---|---|
担当教員 | |
学生の到達目標 |
書名 | 著者名 | 出版社名 |
---|---|---|
使用しない |
書名 | 著者名 | 出版社名 |
---|---|---|
『医療経済学講義』 | 橋本英樹・泉田信行 | 東京大学出版会 |
『医療の経済学[第3版]』 | 川口洋行 | 日本評論社 |
期末試験60点+平常点(アンケート)40点
文書形式でmanabaを利用。