• 医療薬学A

    [Clinical Pharmacy A]

    開講情報
    • 4年次前期

      講義

      1.5単位必修

    担当教員
    • 教授村木 優一

      講師今西 孝至

      講師中村 暢彦

      講師松村 千佳子

      助教豕瀬 諒

      非常勤講師河野 修治

    備考  

    概要

     薬剤師を取り巻く環境が調剤を中心とした対物業務から、患者情報を考慮した薬剤管理指導業務といった対人業務へと大きく変化しており、薬剤師は「医療の担い手」として医療法により明確に位置づけられている。このような社会的背景の中、薬剤師が主体的かつ多職種との連携下において専門職能を発揮することへの社会的な期待が増している。本講では、薬剤師業務の変遷を理解し、病院・薬局薬剤師の業務内容の基礎と新たな業務内容について講述する。また、この授業は対面授業と同時配信型授業で構成する。学生の皆さんには隔週で対面授業を7回、同時配信型授業を7回受講してもらう。

    授業の一般目標

     臨床現場において薬剤師業務を安全かつ適正に遂行するために、薬剤師の業務概要と社会的使命を理解し、薬剤師として身に付けておくべき基本的知識を修得する。
    [関連する卒業認定・学位授与方針]DP1・DP3・DP4

    準備学習(予習・復習)

     シラバスに記載されている学習項目と到達目標を理解して講義に出席すること。講義で配付された資料や板書を元に復習すること。予習と復習には一週あたり150分の学習が必要である。

    学習項目・学生の到達目標

    No. 学習項目 担当教員 学生の到達目標 SBOコード
    1 医療と薬剤師(1) 村木
    薬剤師の誕生から現在までの役割の変遷の歴史、医薬分業の意義と動向、国民医療費の動向について概説できる。
    将来の薬剤師と薬学が果たす役割について概説できる。
    医薬品の適正使用における薬剤師の役割とファーマシューティカルケア、患者の自己決定権とインフォームドコンセントの意義について説明できる。
    A-(1)-②-3
    A-(1)-④-3
    A-(2)-③-3
    B-(3)-②-2
    B-(4)-①-2
    2 医療と薬剤師(2) 村木
    医療保険制度について説明できる。
    薬価基準制度について概説できる。

    B-(3)-①-2,6
    3 病院薬剤師の役割と課題~外来患者への関わり 豕瀬
    病院における薬剤師業務全体の流れを概説できる。
    病院で薬剤師が実践する薬学的管理の重要性および患者や種々の情報源(診療録、薬歴・指導記録、看護記録、お薬手帳、持参薬等)から薬物療法に必要な情報を収集できる。
    処方提案に際し、薬剤の選択理由、投与量、投与方法、投与期間等について、医師や看護師等に判りやすく説明できる。
    治験の意義と仕組みについて概説できる。
    ☆薬剤師外来の内容と役割について概説できる。
    B-(2)-②-2,3
    B-(3)-②-3
    F-(1)-③-1,2
    F-(2)-②-1
    F-(3)-③-14
    4 病院薬剤師の役割と課題~入院患者への関わり 豕瀬
    病院薬剤部門を構成する各セクションの業務内容を相互に関連づけて説明できる。
    入院患者の持参薬について継続・変更・中止の提案および患者や種々の情報源から薬物治療に必要な情報を収集できる。
    医薬品の効果や副作用を評価するために必要な患者情報について概説できる。
    チーム医療における薬剤師の役割および多様な医療チームの目的と構成員の役割を説明できる。
    E3-(2)-①-1,2
    F-(1)-③-3,4
    F-(4)-①-1,2
    5 病院薬剤師の役割と課題~医療の質向上のための取り組み 河野修
    医薬品の市場の特徴と流通の仕組みについて概説できる。
    病院において医薬品を採用・選択する際に検討すべき項目を列挙し、医薬品管理の意義と必要性などを概説できる。
    毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、覚醒剤原料および特定生物由来製品等の管理と取扱いに係る規定について説明できる。
    医薬品が関わる代表的な医療過誤やインシデントの事例を列挙し、原因と防止策、発生後の適切な対処法を提案することができる。
    A-(1)-③-2~4,6
    B-(2)-③-1,3
    B-(3)-②-1
    E3-(1)-⑦-1
    F-(2)-⑤-1~5,8
    F-(2)-⑥-3
    6 注射薬・輸液(1) 松村
    皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射・点滴等の基本的な手技、代表的な輸液の種類と適応を説明できる。
    患者の栄養状態や体液量、電解質の過不足などが評価できる。
    注射薬処方せんの記載事項(医薬品名、分量、投与速度、投与ルート等)が適切であるか確認できる。
    F-(3)-③-4~6
    7 注射薬・輸液(2)
    松村
    代表的な輸液の種類と適応を説明できる。
    輸液の投与設計ができる。
    F-(3)-③-5
    8 注射薬・輸液(3)
    松村
    代表的な輸液の種類(アミノ酸輸液、脂肪乳剤、高カロリー輸液)と適応を説明できる。
    ビタミンや微量金属元素の欠乏症について説明できる。
    F-(3)-③-5
    9 注射薬・消毒薬 中村暢 代表的な注射剤・散剤・水剤等の配合変化のある組合せとその理由を説明できる。
    代表的な消毒薬の用途、使用濃度、調製時の注意点を説明できる。
    院内製剤の意義、調製上の手続き、品質管理の説明および医薬品の品質に影響を与える因子と保存条件を説明できる。
    F-(2)-③-5
    F-(2)-⑤-6,7
    F-(2)-⑥-4,6
    10 病院薬剤師の役割と課題~退院時の関わり 中村暢 病院と地域の医療連携の意義と具体的な方法(連携クリニカルパス、退院時共同指導、病院・薬局との連携等)を説明できる。
    多職種連携協働に関わる薬剤師、各職種、行政の役割およびチーム医療の役割について説明できる。

    A-(4)-1,2,3
    F-(4)-①-3
    11 調剤業務の質の確保、後発医薬品の使用促進 中村暢
    医薬品情報にもとづいて、先発医薬品と後発医薬品の品質、安全性、経済性の比較・評価、後発医薬品選択の手順を説明できる。
    F-(2)-③-4
    12 薬局薬剤師の役割と課題~地域包括ケアシステム、在宅医療、かかりつけ薬剤師 今西 地域包括ケアの理念、連携体制および意義について説明できる。在宅医療・介護の目的、仕組み、支援の内容および支援を受ける患者の特色、およびその業務に関わる薬剤師の役割とその重要性について説明できる。
    かかりつけ薬局・薬剤師による薬学的管理の意義について説明できる。
    B-(4)-①-3
    B-(4)-②-1
    F-(4)-②-1
    F-(5)-①-1,2,3
    13 薬局薬剤師の役割と課題~OTCの供給、セルフメディケーション 今西 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の目的及び医薬品等(医薬品(薬局医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品)、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)の定義について説明できる。
    要指導医薬品および一般用医薬品について説明し、代表的な疾患・症候(発熱、痛み、かゆみ、消化器症状、呼吸器症状、アレルギー、細菌・真菌感染症、生活習慣病 等)に用いられる成分や作用・副作用を列挙できる。
    A-(1)-②-6
    B-(2)-②-1
    B-(4)-①-4
    E2-(9)-1,2,5

    F-(2)-⑥-1~3
    14 薬局薬剤師の役割と課題~薬事衛生・公衆衛生における薬局薬剤師の地域における活動 今西 地域保健における薬剤師の役割と代表的な活動(薬物乱用防止、自殺防止、感染予防、アンチドーピング活動等)について説明できる。
    健康管理、疾病予防、セルフメディケーション及び公衆衛生における薬剤師の役割について説明できる。
    A-(1)-②-6,7
    F-(5)-②-1
    15 総括・まとめ

    No.1

    学習項目 医療と薬剤師(1)
    担当教員 村木
    学生の到達目標 薬剤師の誕生から現在までの役割の変遷の歴史、医薬分業の意義と動向、国民医療費の動向について概説できる。
    将来の薬剤師と薬学が果たす役割について概説できる。
    医薬品の適正使用における薬剤師の役割とファーマシューティカルケア、患者の自己決定権とインフォームドコンセントの意義について説明できる。
    SBOコード A-(1)-②-3
    A-(1)-④-3
    A-(2)-③-3
    B-(3)-②-2
    B-(4)-①-2

    No.2

    学習項目 医療と薬剤師(2)
    担当教員 村木
    学生の到達目標 医療保険制度について説明できる。
    薬価基準制度について概説できる。

    SBOコード B-(3)-①-2,6

    No.3

    学習項目 病院薬剤師の役割と課題~外来患者への関わり
    担当教員 豕瀬
    学生の到達目標 病院における薬剤師業務全体の流れを概説できる。
    病院で薬剤師が実践する薬学的管理の重要性および患者や種々の情報源(診療録、薬歴・指導記録、看護記録、お薬手帳、持参薬等)から薬物療法に必要な情報を収集できる。
    処方提案に際し、薬剤の選択理由、投与量、投与方法、投与期間等について、医師や看護師等に判りやすく説明できる。
    治験の意義と仕組みについて概説できる。
    ☆薬剤師外来の内容と役割について概説できる。
    SBOコード B-(2)-②-2,3
    B-(3)-②-3
    F-(1)-③-1,2
    F-(2)-②-1
    F-(3)-③-14

    No.4

    学習項目 病院薬剤師の役割と課題~入院患者への関わり
    担当教員 豕瀬
    学生の到達目標 病院薬剤部門を構成する各セクションの業務内容を相互に関連づけて説明できる。
    入院患者の持参薬について継続・変更・中止の提案および患者や種々の情報源から薬物治療に必要な情報を収集できる。
    医薬品の効果や副作用を評価するために必要な患者情報について概説できる。
    チーム医療における薬剤師の役割および多様な医療チームの目的と構成員の役割を説明できる。
    SBOコード E3-(2)-①-1,2
    F-(1)-③-3,4
    F-(4)-①-1,2

    No.5

    学習項目 病院薬剤師の役割と課題~医療の質向上のための取り組み
    担当教員 河野修
    学生の到達目標 医薬品の市場の特徴と流通の仕組みについて概説できる。
    病院において医薬品を採用・選択する際に検討すべき項目を列挙し、医薬品管理の意義と必要性などを概説できる。
    毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、覚醒剤原料および特定生物由来製品等の管理と取扱いに係る規定について説明できる。
    医薬品が関わる代表的な医療過誤やインシデントの事例を列挙し、原因と防止策、発生後の適切な対処法を提案することができる。
    SBOコード A-(1)-③-2~4,6
    B-(2)-③-1,3
    B-(3)-②-1
    E3-(1)-⑦-1
    F-(2)-⑤-1~5,8
    F-(2)-⑥-3

    No.6

    学習項目 注射薬・輸液(1)
    担当教員 松村
    学生の到達目標 皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射・点滴等の基本的な手技、代表的な輸液の種類と適応を説明できる。
    患者の栄養状態や体液量、電解質の過不足などが評価できる。
    注射薬処方せんの記載事項(医薬品名、分量、投与速度、投与ルート等)が適切であるか確認できる。
    SBOコード F-(3)-③-4~6

    No.7

    学習項目 注射薬・輸液(2)
    担当教員 松村
    学生の到達目標 代表的な輸液の種類と適応を説明できる。
    輸液の投与設計ができる。
    SBOコード F-(3)-③-5

    No.8

    学習項目 注射薬・輸液(3)
    担当教員 松村
    学生の到達目標 代表的な輸液の種類(アミノ酸輸液、脂肪乳剤、高カロリー輸液)と適応を説明できる。
    ビタミンや微量金属元素の欠乏症について説明できる。
    SBOコード F-(3)-③-5

    No.9

    学習項目 注射薬・消毒薬
    担当教員 中村暢
    学生の到達目標 代表的な注射剤・散剤・水剤等の配合変化のある組合せとその理由を説明できる。
    代表的な消毒薬の用途、使用濃度、調製時の注意点を説明できる。
    院内製剤の意義、調製上の手続き、品質管理の説明および医薬品の品質に影響を与える因子と保存条件を説明できる。
    SBOコード F-(2)-③-5
    F-(2)-⑤-6,7
    F-(2)-⑥-4,6

    No.10

    学習項目 病院薬剤師の役割と課題~退院時の関わり
    担当教員 中村暢
    学生の到達目標 病院と地域の医療連携の意義と具体的な方法(連携クリニカルパス、退院時共同指導、病院・薬局との連携等)を説明できる。
    多職種連携協働に関わる薬剤師、各職種、行政の役割およびチーム医療の役割について説明できる。

    SBOコード A-(4)-1,2,3
    F-(4)-①-3

    No.11

    学習項目 調剤業務の質の確保、後発医薬品の使用促進
    担当教員 中村暢
    学生の到達目標 医薬品情報にもとづいて、先発医薬品と後発医薬品の品質、安全性、経済性の比較・評価、後発医薬品選択の手順を説明できる。
    SBOコード F-(2)-③-4

    No.12

    学習項目 薬局薬剤師の役割と課題~地域包括ケアシステム、在宅医療、かかりつけ薬剤師
    担当教員 今西
    学生の到達目標 地域包括ケアの理念、連携体制および意義について説明できる。在宅医療・介護の目的、仕組み、支援の内容および支援を受ける患者の特色、およびその業務に関わる薬剤師の役割とその重要性について説明できる。
    かかりつけ薬局・薬剤師による薬学的管理の意義について説明できる。
    SBOコード B-(4)-①-3
    B-(4)-②-1
    F-(4)-②-1
    F-(5)-①-1,2,3

    No.13

    学習項目 薬局薬剤師の役割と課題~OTCの供給、セルフメディケーション
    担当教員 今西
    学生の到達目標 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の目的及び医薬品等(医薬品(薬局医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品)、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)の定義について説明できる。
    要指導医薬品および一般用医薬品について説明し、代表的な疾患・症候(発熱、痛み、かゆみ、消化器症状、呼吸器症状、アレルギー、細菌・真菌感染症、生活習慣病 等)に用いられる成分や作用・副作用を列挙できる。
    SBOコード A-(1)-②-6
    B-(2)-②-1
    B-(4)-①-4
    E2-(9)-1,2,5

    F-(2)-⑥-1~3

    No.14

    学習項目 薬局薬剤師の役割と課題~薬事衛生・公衆衛生における薬局薬剤師の地域における活動
    担当教員 今西
    学生の到達目標 地域保健における薬剤師の役割と代表的な活動(薬物乱用防止、自殺防止、感染予防、アンチドーピング活動等)について説明できる。
    健康管理、疾病予防、セルフメディケーション及び公衆衛生における薬剤師の役割について説明できる。
    SBOコード A-(1)-②-6,7
    F-(5)-②-1

    No.15

    学習項目 総括・まとめ
    担当教員
    学生の到達目標
    SBOコード

    実務経験

    村木優一
    業種:病院

    学習項目No. その経験を生かして、どのような教育を行なうのか。
    1、2 国立大学病院で16年勤務し、薬剤部では各部署の主任、副薬剤部長を経験しました。担当病棟は肝胆膵移植外科を中心に様々な病棟を経験してきました。感染症の専門・認定薬剤師、医療薬学会の指導薬剤師も取得し、臨床研究を行ってきました。多種多様な経験を活かして、医療現場における薬剤師がどうあるべきか、今何を学ぶ必要があるのか考える機会を与えます。

    今西孝至
    業種:その他(病院・保険薬局)

    学習項目No. その経験を生かして、どのような教育を行なうのか。
    12、13、14 病院薬剤師・薬局薬剤師(計10年間)として医療現場で従事していたので、この経験をもとに、これからの地域保健領域で必要とされる薬局薬剤師の役割について具体的に説明する。特に、OTC販売に必要な症候学やアンチ・ドーピング活動については救急救命士やスポーツファーマシストとしての視点も交えて講義を行う。

    中村暢彦
    業種:病院

    学習項目No. その経験を生かして、どのような教育を行なうのか。
    9、10、11 がん指導薬剤師。病院薬剤師の経験を生かして、医療薬学に関する必要な基礎的知識及び基本的な考えについて教育を行う。

    松村千佳子
    業種:病院

    学習項目No. その経験を生かして、どのような教育を行なうのか。
    6、7、8 約20年間の病院薬剤師、現在は臨床研究員として週に1回病院に従事している。病院薬剤師の実務経験をもとに、薬剤師業務全般に関する知識および薬学的支援のあり方についても触れる。

    豕瀬 諒
    業種:病院

    学習項目No. その経験を生かして、どのような教育を行なうのか。
    3、4 6年制薬学部を卒業し、公立大学病院で5年半勤務しました。呼吸器内科、消化器外科、血液内科などの病棟を担当し、主にがん診療に携わってきました。医療薬学会の指導薬剤師、がん専門薬剤師の資格を取得しています。また、有害事象自発報告データベースを用いた研究や臨床研究についても取り組んできました。これらの経験を生かして、臨床現場における医薬品の適正使用に対する薬剤師の関わりについて伝えます。

    河野修治
    業種:病院

    学習項目No. その経験を生かして、どのような教育を行なうのか。
    5 現在、病院薬剤師として臨床の現場で薬剤師業務に従事している。
    その経験をもとに、最新の情報や薬剤師としての考え方を交えながら各項目について説明する。

    参考書

    書名 著者名 出版社名
    医療薬学(第6版)  乾 賢一 編 廣川書店

    成績評価方法・基準

    定期試験にて100%評価する。教科書は使用せずプリントによる講義を行う。

    評価のフィードバック

    講評は、manaba上にて公開する。