• 京都学

    [Studies on Kyoto]

    開講情報
    • 1年次前期

      講義

      1.5単位選択

    担当教員
    • 教授鈴木 栄樹

    備考  

    概要

     このところ、京都の街には多くの外国人があふれている。海外の人たちから見ても、京都は魅力ある都市なのだろう。ひょっとしたら、海外の人たちの方が京都のことをよく知っているかもしれない。そんなことにならないように、京都を学ぼう。
     さて京都、というと、「千年の古都」、あるいは「日本に、京都があってよかった」、「そうだ 京都、行こう」などというキャッチコピーが思い浮かぶだろうか。京都は、794年に桓武天皇が遷都して以来、1869(明治2)年に明治天皇・皇后が東京へ遷るまで、ほとんどの天皇の居所となり、華やかな貴族文化を咲かせた。さらに、室町時代には能・狂言や茶の湯などの新たな文化が創成された。葵祭・祇園祭・時代祭という三大祭には、毎年多くの観光客が国内外から訪れる。歴史の教科書に載る多くの事件が京都でおこり、多くの人物たちが京都に住み、あるいは京都を訪れた。仏教諸宗派の本山の多くが京都にあり、文化財を数多く保存する都市でもある。西陣織その他のすぐれた伝統工芸技術が保存されてもいる。本講義を、こうした京都の歴史的・空間的・文化的な特質をできるだけ多面的に考える機会としたい。名づけて「京都学」という。ビデオや映画などの視聴覚教材も利用し、より充実した授業としたい。

    授業の一般目標

     日本を代表する都市である京都とそこに歴史的に形づくられてきた文化を学ぶことで、自らが置かれている文化的環境をしっかりと認識できるようにしてほしい。また、世界のグローバル化のなかで、日本の各地域は大きく変貌し、また多くの問題を抱えている。私たちの京都も例外ではない。京都は歴史のなかで、他の多くの地域に影響を与えてきた。京都という町の歴史を学ぶことで、それぞれの地域が抱える問題を考える糸口ともしたい。準備学習としては、テキスト(プリント)を読み、また何よりも地図をもって京都の街なかを歩き回り、さまざまなものを見てほしい。

    準備学習(予習・復習)

     まずは、京都の地図、地理的な特徴を頭の中に入れておいてほしい。また、実際に京都の街なかを歩き回り、言葉や知識だけでなく、からだと心で京都を感じ取ることに努めてほしい。予習については、前の時間に指示するので、それらについて事前に調べておき、復習(自分なりに講義の内容を肉付けすること)を心がけてほしい。予習復習を合わせて1週あたり150分程度の学習が必要である。

    学習項目・学生の到達目標

    No. 学習項目 担当教員 学生の到達目標
    1 「京都学」を学ぶにあたって 鈴木 授業の進め方および概括的な知識を得る。
    2 神社と祭礼(1)
    上下鴨社と葵祭
    鈴木 平安京以前の京都盆地の状況を上下鴨社の歴史と祭礼から理解する。
    3 神社と祭礼(2)
    祇園社(八坂神社)と祇園祭
    鈴木 平安時代前半の御霊信仰と祇園祭の起原について理解する。
    4 仏教と寺院(1) 鈴木 平安時代初期の新仏教である空海の真言宗と、最澄の天台宗を通して、当時の人々の信仰や文化について理解する。
    5 仏教と寺院(2) 鈴木 鎌倉・室町時代の新仏教諸派を通して、当時の人々の信仰や文化について理解する。
    6 冷泉家と和歌の伝統、公家のくらし 鈴木 日本に唯一残る公家邸である冷泉家は800年もの間和歌の伝統を守り続けてきた。和歌を通して京都の文化を理解する。
    7 豊臣秀吉の京都改造 鈴木 平安京以来の京都のあり方を大きく変貌させた秀吉による都市改造の歴史的意義について理解する。
    8 町衆の生活文化と町家建築 鈴木 京都を代表する町家である杉本家の生活文化について理解する。
    9 文化財の宝庫としての京都 鈴木 私たちに歴史的な臨場感を与えてくれる文化財はどのように現在まで継承されてきたのかを理解する。
    10 鴨川と高瀬川 鈴木 京都の歴史のなかで鴨川が果たした役割、また江戸時代初頭に開削された高瀬川の役割について理解する。
    11 近代の京都画壇 鈴木 明治以降、江戸時代の歴史的遺産を受けつぐと同時に西洋画の影響を受けて展開していった京都画壇について理解する。
    12 京都の伝統工芸 鈴木 明治以降の京都の近代化のなかで国際的に評価されてきた京都の伝統工芸について理解する。
    13 京都の災禍と復興 鈴木 災害や戦火、それからの復興という観点から京都の歴史を理解する。
    14 京都の過去・現在・将来 鈴木 授業をふり返って、「京都の過去・現在・将来」をテーマとした討論をすることで、全体としての理解を深める。
    15 総括・まとめ

    No.1

    学習項目 「京都学」を学ぶにあたって
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 授業の進め方および概括的な知識を得る。

    No.2

    学習項目 神社と祭礼(1)
    上下鴨社と葵祭
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 平安京以前の京都盆地の状況を上下鴨社の歴史と祭礼から理解する。

    No.3

    学習項目 神社と祭礼(2)
    祇園社(八坂神社)と祇園祭
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 平安時代前半の御霊信仰と祇園祭の起原について理解する。

    No.4

    学習項目 仏教と寺院(1)
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 平安時代初期の新仏教である空海の真言宗と、最澄の天台宗を通して、当時の人々の信仰や文化について理解する。

    No.5

    学習項目 仏教と寺院(2)
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 鎌倉・室町時代の新仏教諸派を通して、当時の人々の信仰や文化について理解する。

    No.6

    学習項目 冷泉家と和歌の伝統、公家のくらし
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 日本に唯一残る公家邸である冷泉家は800年もの間和歌の伝統を守り続けてきた。和歌を通して京都の文化を理解する。

    No.7

    学習項目 豊臣秀吉の京都改造
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 平安京以来の京都のあり方を大きく変貌させた秀吉による都市改造の歴史的意義について理解する。

    No.8

    学習項目 町衆の生活文化と町家建築
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 京都を代表する町家である杉本家の生活文化について理解する。

    No.9

    学習項目 文化財の宝庫としての京都
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 私たちに歴史的な臨場感を与えてくれる文化財はどのように現在まで継承されてきたのかを理解する。

    No.10

    学習項目 鴨川と高瀬川
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 京都の歴史のなかで鴨川が果たした役割、また江戸時代初頭に開削された高瀬川の役割について理解する。

    No.11

    学習項目 近代の京都画壇
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 明治以降、江戸時代の歴史的遺産を受けつぐと同時に西洋画の影響を受けて展開していった京都画壇について理解する。

    No.12

    学習項目 京都の伝統工芸
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 明治以降の京都の近代化のなかで国際的に評価されてきた京都の伝統工芸について理解する。

    No.13

    学習項目 京都の災禍と復興
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 災害や戦火、それからの復興という観点から京都の歴史を理解する。

    No.14

    学習項目 京都の過去・現在・将来
    担当教員 鈴木
    学生の到達目標 授業をふり返って、「京都の過去・現在・将来」をテーマとした討論をすることで、全体としての理解を深める。

    No.15

    学習項目 総括・まとめ
    担当教員
    学生の到達目標

    教科書

    書名 著者名 出版社名
    京都〈千年の都〉の歴史 高橋昌明 岩波書店(新書)

    参考書

    書名 著者名 出版社名
    随時プリントにて配布する。また、書籍も紹介する。

    成績評価方法・基準

     定期試験(80%)のほか、授業についての感想や質疑などの提出(10%)、フィールド・レポート(10%)などにより評価する。積極的に学ぶ、すなわち、よく知り、よく考え、よく歩き、よく表現することを評価する。

    評価のフィードバック

     講評は、合格発表日後まもなく掲示にて公開する。

    備考(担当教員に対する質問等の連絡方法)

     基本的には金曜日の午後3時30分~5時30分をオフィスアワーとするが、所用が入ることもあるので、必ず事前にアポイントメントをとってほしい。詳しくは、初回の授業の際に説明する。